文化財の修理理念

国の掛物、巻物、屏風、襖、額などの表装の型式や技術は、奈良時代に中国より、仏教や文物の伝来とともに伝わってきました。爾来、平安、鎌倉、室町、桃山、江戸の各時代を経て現在に至るまで、表装の舞台は、ほとんど京都が主役になっています。

昔から、京染、京呉服、京人形、京菓子など“京”の一字を冠することは高級品の代名詞とされてきましたが、京表具もその例にもれず、高く評価された伝統の技術をいまも継承しています。加えて、最近では、光学機器による現状調査、材質調査や手法選定が行われ、また科学的な裏付などを加えながらの修理も進められています。

弊社は、昭和26年より京都国立博物館に文化財保存修理所を設置し、国宝、重要文化財などの修理を行ってきました。また、西本願寺正門前の本社を全面新築し、とくに防災設備を完備して、安全度のきわめて高い状態で美術品の修理に万全を期しています。一方、かねてより在外文化財の修理や外国からの研修生の受け入れなども行っていますが、これを機に、表装を通じての国際文化交流を、さらに積極的に進めていくつもりです。

1988年9月には、IIC(国際文化財保存科学会議)が京都で開催され、弊社もこれに参画、文化財修理技術の一層の発展に努力したいと願っています。

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