宇佐美松鶴堂の決意

装と額装にされた宇佐美松鶴堂の家訓は、当家4代目直八が残したものです。家業必ずしも安泰でなかった頃、この家訓は大きな心の支えになり、ひたすら商いの道にいそしんだ先人の心意気に感じ入ったものです。現代の複雑な社会にあっても、約百年前に訓戒し残された言葉は、脈々として私ども末孫に至るまで生き続けています。先人の教えを守り、自分をいましめ、反省しながら、永代にわたって受け継いでいかねばなりません。

現在、私どもの経営方針として、この家訓に加え、「信用」を第一に掲げています。かけがえのない貴重な品をお預かりするのですから、生命より大切、と思って扱う必要があり、それがビル新築に踏みきった理由でもあります。


お預かりした品を立派に仕上げ、お客様に満足していただいてこそ初めて得られる信用―それは、何者にもかえがたい、代々続く当主の無形の財産であり、店の誇りでもあります。家訓ともども肝に銘じて伝えていきたいと考えています。

表具の修行およそ10年、社員はそれぞれ厳しい徒弟制度のなかで下積から一人前になってきた者ばかりです。そして、最近では表具師を志して門をたたく若者たちも幸い増えつつあり、次の世代も着実に育ちつつあります。


在外文化財の修理依頼も年々増えてきています。国の、地方の、そしてさまざまな所蔵者の貴重な宝物や文化遺産をお預かりし、修理をさせていただき後世に伝えていく―この仕事の責任の大きさを痛感するとともに、より良い環境、より良い技術で、より良い仕事を致すべく、社員一同、決意を新たにしています。


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